Carbon Dioxide and Polymer
( 二酸化炭素と高分子 )
Supercritical Carbon Dioxide and Polymer
( 超臨界二酸化炭素と高分子 )
超臨界二酸化炭素(scCO2)は、不燃性、低害性、低コスト、また、回収・再利用が可能であり、環境に優しい新たな媒体として注目されています。scCO2は臨界温度、臨界圧力が比較的低いためその応用範囲は広く、また、減圧により容易に系外へ除去することができるという利点を持っています。scCO2は、多くの低分子や高分子に対して高い溶解性を示し、また、高分子に浸透、収着すると高分子のガラス転移温度(Tg)を低下させるという可塑剤的な効果を持っています。以上のような特徴をもつことから、scCO2は、抽出媒体、精製媒体、高分子や微粒子の合成における反応溶媒として、また、マイクロセルラープラスチック(微細発泡プラスチック)の作製や高分子の成形加工などに広く利用されています。さらに、最近では、高分子の結晶化を促進させる効果に注目し、scCO2による高分子の高次構造制御に関する研究も行われています。
当研究室では、様々な高分子材料にCO2を浸透・収着させ、その結晶化挙動や構造形成などについて研究しています。また、ポリ-L-乳酸(PLLA)などの生分解性高分子やポリマーブレンド、高分子複合材料などを用いて、高圧CO2処理により様々なマイクロセルラープラスチックを作製し、それらの発泡構造や物性などについて調べています。
Structure and Properties of Biodegradable Polymers
( 生分解性高分子の構造と物性 )
ポリ-L-乳酸(PLLA)は酵素や水によって自然界や生体内で加水分解され、分解生成物である乳酸が人間の体内にも存在し安全であることから、環境及び生体への適合性が非常に高い生分解性高分子として注目されています。PLLAはその生体適合性の高さから、従来より、外科手術の縫合糸、骨接合材、DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)などの医療分野で多く利用されています。また、PLLAは植物を原料として生産されるということからも、環境に優しい材料として注目されており、最近では、環境への配慮の必要性、工業的な量産化により、環境保全型プラスチックとして医療分野以外の分野においても利用が拡大しつつあります。
PLLAは結晶性高分子であり、その力学的性質、熱的性質、分解性などの諸物性は、高次構造によって大きく変化します。また、これは、PLLAを用いたポリマーブレンドや複合材料においても同様です。したがって、目的の性質を持つPLLAやPLLA複合系を作製するためには、その構造を制御することが重要です。
当研究室では、PLLAやPLLAブレンド、PLLA複合系において、構造と物性との関係やそれらの制御について研究しています。特に、PLLAを様々な条件で高圧CO2処理したときの結晶化挙動や高次構造形成、物性の変化について調べています。